「寝酒」をすると、スムーズに睡眠にはいることが出来るので、寝付きが悪い人などには効果的と言われています。西洋文化でも、寝付きを良くするために、就寝前にお酒をたしなむ「ナイトキャップ」と呼ばれる習慣が古くからあります。
ナイトキャップとして好まれるお酒の種類は、ブランデーやラムなどで、柑橘系のジュースで割って飲むナイトキャップ用のカクテルも多くあるようです。西洋では、睡眠を助ける方法として、就寝前の飲酒が広く浸透していると言うことでしょうね。
眠りにつくのに時間が掛かる。眠りが浅くて充分に睡眠が取れないというような睡眠に関しての悩みを抱えている人に「ナイトキャップ」は役立ってくれるかもしれません。
ここでは、どのようなお酒をどのようなタイミングで飲めばよいのか?また適切な摂取量など、「ナイトキャップ」のあれこれについて調べてみたいと思います。就寝前の一杯が、よりより眠りをもたらしてくれるのであれば、嬉しいですね。
そもそも睡眠前のお酒は良い?
結論から言うと、少量のアルコールであれば、速やかに眠りにつけると同時に、健康維持にも非常に役立ちます。
少量のアルコールを摂取した際に、脳内に抑制性神経伝達物質であるギャバが増えます。ギャバには、興奮を鎮める働きがあると共に、血圧を下げて精神を安定させる作用があります。
つまりリラックスの神経である副交感神経を優位にさせるのです。この事により、寝付きが悪い人でもすんなりと眠りにはいる事ができるわけです。
適量を守って摂取するのであれば、就寝前のお酒は不眠症などの症状を改善するのにも役立ちます。しかし、お酒を飲むと、ついつい気持が高揚して、飲み過ぎてしまう事がありますよね。
お酒を多量に摂取すると一旦は眠気に襲われますが、実は、体内では、睡眠をコントロールしている脳幹が麻痺した状態になっているため、深いノンレム睡眠ではなく、浅いレム睡眠ばかりが現れる事になってしまうので、返って逆効果となってしまいます。
- 【ポイント】
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- アルコールは、興奮を鎮める働きと、血圧を下げて精神を安定させる作用がある
- 副交感神経を優位にさせる
- お酒を多量に摂取すると逆効果
睡眠前に飲んでもOKなお酒と、NGなお酒は?
西洋では、ナイトキャップとしてブランデーやラムなどが好んでたしなまれているようですが、寝酒には身体を温める種類のお酒がお勧めです。身体を冷やしてしまい、また、利尿作用を促すビールなどはNGですね。
ブランデーやラムなどを使った甘めのカクテルなどであれば、消化を助ける作用もあります。また、梅酒やカリン酒などをお湯割りした日本風のホットカクテルもいいですね。
風邪を引いた時などに飲む、卵酒なども実は立派なナイトキャップカクテルと言えるでしょう。ホットワインも同様に、血流を良くし、身体を温めてくれるので、ナイトキャップには最適ですね。
しかし、どのお酒に関しても、言えることは飲み過ぎは厳禁と言うことです。甘めのカクテルやホットカクテルは口当たりがよく、飲みやすいものが多いのでついつい飲み過ぎてしまうなんてことになりかねません。
あくまで、睡眠を促すために飲む「ナイトキャップ」ですから、小さめのマグカップを使うなどして適量で済ませるようにしましょう。
- 【ポイント】
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- 体を温めるお酒が良い
- ビールなどは、身体を冷やしてしまい、利尿作用促すためNG
睡眠前の正しいお酒の飲み方とは
ナイトキャップというと、眠る直前に飲むと言うイメージありますが、本来は就寝3時間前に飲酒を終了させるのが理想的です。
アルコールが体内に吸収され分解されるのにかかる時間が約3時間と言われています。アルコールが分解される際に排出されるアセトアルデヒドという毒素は交感神経を刺激し、安らかな眠りの妨げとなりますので、就寝前にアルコールがしっかりと分解されていることが望ましいのです。
また、お酒を摂取することで、トイレが近くなるのも安眠を妨害するひとつとなりますので、その点でも、就寝前には出来るだけ水分摂取を控えるのがベターです。ナイトキャップと言っても、就寝前ではなく、夕食の時に晩酌という形で摂取するのが、もっとも良いタイミングと言えます。
どうしても、眠る前に一杯と言う人は、ブランデーやウィスキーなどのアルコール度数の高いお酒をほんの少量だけ摂取するようにしましょう。あくまで、ストレスからの解放と精神的なリラックスが目的ですので、お猪口一杯程度で充分です。
- 【ポイント】
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- 就寝3時間前に飲酒を終了させる
睡眠前にお酒を飲む場合の注意点
就寝前に強めのお酒を一杯飲む時には、出来るだけ”つまみ”を取るのは避ける方が良いでしょう。胃の中に食物がはいる事で、睡眠中に消化活動が始まるため、腸の体温が上がってしまいます。
その事によって、血圧なども下がりにくくなり、睡眠の大きな妨げとなってしまうのです。どうしても何かをつまみたいという事であれば、消化がしやすいでんぷん質のもの(クラッカーなど)を選ぶようにしましょう。
また、少量であれば、くるみなどもお勧めです。くるみに含まれているマグネシウムは、ストレスを沈静化する作用があります。
また、くるみには精神を安定させるビタミンB1が多く含まれている事から、就寝前のナイトキャップとお供には最適と言えるでしょう。
ナイトキャップはあくまでより良い睡眠を手に入れるためのものですので、適量を守り摂取する事が大切です。また、習慣化することで、摂取量が増えて行く恐れがありますので、寝付きが悪いと感じた時だけ摂取するように心がけましょう。
- 【ポイント】
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- お酒と一緒につまみ”を取るのは避ける
- 寝付きが悪いと感じた時だけ摂取する
まとめ
ストレスの多い現在社会の中では、よりより眠りは明日への活力を生み出すために必要絶対条件といえます。
西洋でも広く親しまれている「ナイトキャップ」は一日の疲れを癒すことの出来る質のよい眠りを手に入れるのに、おおいに役に立ってくれそうですね。「ナイトキャップ」には、アロマを焚いて、その香りを楽しんだり、キャンドルの優しい光に癒されたりするのと同じようなリラクゼーション効果があります。
就寝前に、リラックスした状態でゆったりと好きなお酒を少しだけたしなむ時間を持つことで、心にゆとりが生まれ、日々のストレスから心身ともに解放してくれるからかもしれませんね。日本ではまだ馴染みのないナイトキャップ専用のカクテルなどを試してみるのも、また、楽しみ方の幅が広がっていいかもしれません。
お酒は、昔から日本では「酒は百薬の長」と言われ、慣れ親しんで来た嗜好品です。そのたしなみ方や、摂取する量をきちんとコントロール出来れば、精神的安定、健康維持の両面で役立ってくれる万能薬といえるでしょう。
重要なことは適量に摂取することです!多量にお酒を摂取すると逆効果になりますので注意してください。
「ナイトキャップ」を上手に自分の生活習慣の中に取り入れながら、健康ではつらつとした毎日をいつまでも過ごして行きたいものですね。