日中は咳が出ないのに、夜間や睡眠中に咳が出る!という方は意外と多いです。
そこで今回は日中は咳が出ないのに、夜間や眠りに入ると咳が出る理由を説明したいと思います。そして咳を止める対策方法も紹介します。
目次
咳はなぜ出るのか?
風邪などの主な症状に咳がありますが、そもそもなぜ咳はでるのでしょうか?
咳は、喉や気管・気管支などの粘膜が、何らかの刺激を受けることにより生じる防御的反射の一つです。この防御反射があることで、誤って異物を飲み込んでしまったり風邪などを引いた場合などに、咳をして異物や細菌・ウイルスなどを吐き出そうとすることで、体を守ろうとするのです。
咳が出る要因には、のどや気管ばかりではありません。その他に、胃や横隔膜などに何らかの刺激が加わった際にも、その防御反射として咳が出ることもあります。
また、タバコやたき火などの煙や呼吸器系に悪性腫瘍などができた場合にも咳が出やすくなります。
咳と言っても、症状などによってその性状が異なります。咳の性状としては、痰(たん)が絡んだ湿った咳と、痰の絡まない乾いた咳の2つのタイプです。
- 湿性の特徴:ゴホンゴホンと重い咳で、主に気管支炎などで起こりやすいです
- 乾性の特徴:コンコンと軽い咳で、主に風邪などで起こりやすいです
喘息の持病がある方は特に咳には注意が必要で、風邪などを引いて一度咳が出ると、長引いたり咳が止まらなくなったりすることがあります。また、喘息の方はヒューヒュー・ゼーゼーといった喘鳴(ぜんめい)を伴うケースが多く、呼吸がしにくくなり苦しくなります。
咳は気道内の異物や刺激から身を守る生体防御反応であるため、医師の相談なくむやみに咳止めなどを服用するのは避ける必要があります。
- 【ポイント】
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- 咳は、防御的反射の一つ
- 咳には、湿った咳と、乾いた咳の2つのタイプがある
- 喘息の方は、喘鳴(ぜんめい)を伴う
夜間に咳がひどくなる原因とは?
よく、夜間の睡眠中に咳がひどくなることがありますが、なぜ夜になると症状がひどくなるのでしょうか?夜になると咳がひどくなる原因は、喉に異物が侵入するためとは異なり、いくつかの要因が考えられます。
要因1:自律神経(副交感神経)が活発に働くため
自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類がありますが、このうち睡眠中には副交感神経が活発になります。
副交感神経とは、筋肉が緊張を解きほぐして心身をリラックスモードへと導く働きをします。副交感神経が活発になると心身を休ませることができますが、一方で気道は狭くなってしまいます。すると、気道の粘膜同士がくっついたりするため粘膜が敏感に反応してしまいます。
この結果、息を吸い込んだだけでも空気の刺激で咳が出てしまうのです。
要因2:鼻水が気道に侵入するため
風邪を引いて鼻水が出ると、睡眠中に鼻水が気道へと流れ込むことがあり、これが原因で咳が出ることもあります。
要因3:気道過敏症を患っているため
咳が多く出る風邪や喘息などの患者さんの中では、少しの刺激でも気道が敏感に反応してしまう気道過敏症を発症することがあります。この患者さんが睡眠をとることで、副交感神経の活動も相まって咳き込むことがあります。
要因4:ハウスダストなどへのアレルギー反応のため
布団や絨毯、ペットなどから出るダニや埃などへのアレルギー反応を起こすことで、咳が出ることがあります。アレルギー症状は人それぞれ異なり、ダニや埃の他にもそば枕に使われるそば殻にも反応する方もいます。
咳を止める効果的な方法とは?
咳を止める効果的な方法は5つあります。
対処法1:マスクを付けて眠る
睡眠中に口と鼻を覆うようにマスクをすることで、口や鼻から侵入する刺激物などを防ぐことができます。また、履いた息によりマスク内の湿度も保たれるので喉の乾燥を防ぐ効果もあります。
対処法2:アレルギーの原因を取り除く
ハウスダストにアレルギーを持っている方は、布団や絨毯などから出るアレルゲンを取り除くようにしましょう。アレルギーの方向けに、ハウスダストを抑える効果的な布団カバーなどもあるので利用すると良いです。
また、高性能掃除機で布団のダニを吸い取るのも効果的です。
対処法3:横向きの寝姿勢で眠る
上向きで眠ると気道が塞がりやすくなり、空気中に舞い上がった埃などを吸い込みやすくなります。横向きに眠ることで、気道が塞がりにくくなるほか、埃や鼻水などを吸い込むのも防ぐことができます。
対処法4:タバコやお酒を控える
タバコやお酒は喉や軌道に大きな負担をかけます。特に過剰に飲酒は筋肉が緊張しやすくなり、更に気道を狭めてしまいます。喉が荒れ気味のときには、はちみつレモン入り紅茶などを飲んで喉のケアをしましょう。
対処法5:咳に効果的なツボを刺激する
咳に効果的なツボには、尺沢(しゃくたく)・孔最(こうさい)・天突(てんとつ)の3つがあり、どれも自分で簡単に押すことができるものです。
- 尺沢:肘の内側の曲げた時にできるシワ
- 孔最:尺沢から指4本分下がった場所
- 天突:首の下左右の鎖骨の間にあるくぼみ
ツボを押すことで咳を鎮めることも可能です。
まとめ
咳が出るのは、喉や軌道に刺激が加わることへの防御反射の一つであり、体を守るための生体機能なのです。
一方、夜に咳がひどくなるのは防御反射とは少々異なり、副交感神経が活発になり気道が狭くなる、風邪で鼻水が出る、気道過敏症を患っている、ハウスダストにアレルギー反応が出る、など様々な要因が考えられるのです。
咳を効果的に止める方法としては、マスクを着用したり、アレルギー物質を特定して取り除く、また横向きで気道を広げる、喫煙・飲酒を控えるなどがあります。また、咳を抑えるのに効果的な3つのツボ(尺沢・孔最・天突)などをゆっくりと押すもの効果的です。
咳の症状の中には、これらの効果的な対処法を行っても改善しない場合もあります。そのようなときには医師の診断を仰ぐ必要がありますが、病院を受診するタイミングとしては、夜に咳が止まらないという状況が1週間以上続く場合には、速やかに医師の診断を受けることをおすすめします。
考えられる咳の症状としては、1週間~3週間以内の場合は感染性の病気(風邪・肺炎・結核など)、3週間以上続き乾性の咳が出る場合は咳喘息などが考えられます。また、3週間以上湿性の咳が出る場合は慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症などの可能性があります。
これらの病気は、胸X線画像やCT検査、血液検査をして詳しく病名を診断していく必要があります。咳が出始めると、単なる風邪から出る咳だと自己判断してしまいがちですが、その中には今までの咳とは違う何らかの病気が隠れている可能性も否定できません。
そのため、単なる咳だからと楽観視せず、夜に咳が長引くようなときには近くの呼吸器内科を受診して、医師の診断・治療を受けることをおすすめします。